一人旅の魅力、私が選んだ目的地とは
旅は道連れと言って、旅に出るなら連れがいた方がいいというのは、昔から言い伝えられた格言ですが、たまには一人で気ままにふらりと出かけるのも乙なもの。一人旅の醍醐味は誰にも気兼ねすることなく、自分の気が向いたときに、好きなところに行けることではないでしょうか。
近年では一人旅の増加に伴って、一人で泊まれる観光地のホテルや一人でも入りやすいレストランなどが増えています。山登りやキャンプなど、かつては複数で行ことがあたりまえだったところにも一人で行って、誰とも会わずにのんびり過ごす人も増えています。
シニアになると同じような年齢でもだんだん体力に差が出てきます。自分はもう少し歩きたいけど、連れの人が疲れてしまって歩けなくなったとか、膝を壊して神社の急な階段は登れないとか、そんな時に助け合って旅をするのも、それこそ旅は道連れで、いいものですが、たまには自分のペースで旅をするのもいいかもしれません。
一人旅の目的地は様々です。有名な観光地に行く、温泉にゆっくりつかる、世界遺産を見るなど、人により関心や興味の対象は異なります。誰かと旅をするときは、互いに譲り合いの精神が必要ですが、一人旅なら自分の興味のままに目的地が決められます。
もし、これまでのパターンに飽きてしまったとか、ちょっと変わった旅がしてみたいと思ったら灯台に行ってみませんか?どうやら灯台には色々な魅力があるようなのです。
灯台の魅力は海の魅力
私は東京で生まれ、東京で育ちました。山も海のない都会の真ん中で幼少期を過ごしました。でも毎年夏休みになると一月ばかり海辺で過ごしていました。私の父は小さな会社を経営していて、従業員の福利厚生で夏の期間、会社で海の家を借りていて、母が泊まりに来た従業員の食事を作っていたのです。
灯台と言えば、まず思い浮かぶのは海ですよね。灯台は海のそばにしかありません。岬の外れにポツンと佇む白い灯台、それが私たちの一般的な灯台のイメージではないでしょうか。灯台の下は防波堤になっていて、やはり白い波が防波堤に打ち寄せています。釣り人たちが灯台の下で釣り糸を垂れているかもしれません。灯台は海とセットになっています。海好きであれば灯台の魅力も倍増するでしょう。
幼い私や兄弟も母に連れられて、夏のうちは海の家で過ごしていました。その海辺での生活は普段の都会での生活とは全く違う、自然と戯れるような毎日でした。毎日のように海辺に行き、泳いだり浜辺で砂遊びをしたり、貝を掘ったり、やどかりと遊んだり、近くの桟橋で釣りをしたり、毎日が夢のようで、夏の終わりに都会に帰っていくのが残念でなりませんでした。
そんな私にとって海は心の原風景です。もちろん私が毎年のように行っていた海の近くにも灯台がありました。歳を重ねるにしたがって海への郷愁は高まるばかりです。いつのころからか旅に出るなら海の見えるところという風に自分の気持ちが傾いていきました。
灯台との出会い
海に原風景を持つ私が灯台に出会ったのはごく最近ことです。もちろん観光地に行ったついでに灯台を見たことは何度かありました。でも灯台の美しさに、あらためて気が付いた瞬間があったのです。
いつもように自宅のパソコンを立ち上げると、ある日、画面に灯台を写した画像がアップされました。ご存じのWindows10の画像配信サービスです。これまでも海の画像で気に入ったのが出てくると「いいね」をあげていたのですが、この日は「いいね」も忘れて思わず画面に見入っていました。
外国のどこかの灯台と海の写真だったのですが、その風景がとても美しく、心に響くものがありました。残念ながらその画像は切り替わりのタイミングだったらしく、すぐに別の画像に変わってしまいました。むしろ一瞬で消えてしまったからかもしれませんが、その後も灯台の風景がしばらく目に焼き付いていました。
それから、美しい灯台を見てみたいと思い、日本の灯台を調べて見ることにしたのです。日本の灯台は、江戸時代にペリーが浦賀に来航して開国を迫った頃、大型の船舶が入港できるように様式の灯台を設置するようになったのが始まりです。
当時は洋式灯台の設計や施工の技術は日本にはなく、多くの外国人技師が建設に携わっていました。当時の最新の技術を用いて作られていたのです。技術力だけではなく、外観にもこだわった灯台がたくさんあり、海や空をバックに今も堂々と佇んでいます。
島国である日本には全国に美しい洋式灯台があり、海洋航路を照らすという機能から岬の突端に位置することが多く、また高さもあることから、そこから眺める景色は絶景ばかりです。
代表的な日本の灯台
日本全国には数えきれないほどの灯台があります。その中で、ここぞと思う灯台を紹介したものが「日本の灯台50選」です。これは1998年の11月1日の第50回灯台記念日の行事として海上保安庁が公募で選んだ、国民に人気のある灯台50基のことです。
北は北海道から南は宮古島まで、美しい50基の灯台が紹介されています。
また同じ1998年に国際航路標識協会というところが提唱した、世界各国の歴史的に特に重要な灯台100基を選んだ「世界の灯台100選」というのもあり、この中に日本の灯台が5基入っています。
ほかにも旅行会社や灯台マニアが選んだベスト10などもあり、灯台の選び方は様々です。まずはこれらの中から上位に挙がっている灯台で、行きたいところを選んで行ってみるのもいいですし、自分が行きたい観光地に灯台があるかを調べてみるというのも、自分ならではのアプローチができるのではないでしょうか。
一人旅の目的は様々、有名観光地や温泉、寺社仏閣や世界遺産など人によって興味の対象は異なります。ちょっと変わった旅がしてみたいシニアにおすすめなのが灯台巡りの一人旅です。家から近い灯台を探して、絶景を楽しめる灯台に旅すれば老後の楽しみが一つ増えます。灯台イベントや登れる日本の灯台の中から行ってみたいところを探してみてくださいネ(^^♪
>>灯台イベントや登れる灯台について
東京から一番近い灯台
灯台に興味を持った私は、手始めに家から一番近い灯台に行ってみようと思いました。私は東京に住んでいるので、東京の灯台がいいと思って調べてみると、東京の灯台は全て伊豆諸島か小笠原諸島など、本州以外の島の灯台でした。
そうなると日帰りで遠足代わりに行くにはちょっと時間がかかります。大抵の場合、船か飛行機に乗らないと島には行けないからです。そこで関東一円の灯台を探してみることにしました。海のない県には灯台はないので、栃木、群馬、埼玉の3県は除外されてしまいます。どうやら日本には、関東のこの3県を含め、山梨、長野、岐阜、奈良の8県には灯台は存在しないようです。ちょっと残念ですね。
また、せっかく行くのですから灯台の中に入って、上まで上がって風景を楽しみたいと思いました。灯台の中には参観灯台と言って、数百円の寄付をすると中に入って登れる灯台が全国に16基あります。
この中から関東の灯台を探すと、神奈川県に1基、千葉県に2基ありました。神奈川県の灯台は三浦半島にある「観音埼灯台」で、千葉県は房総半島にある「野島崎灯台」と銚子にある「犬吠埼灯台」です。日帰りでもなんとか往復できそうです。近いうちにこの中のどれかの灯台に行ってみようと思いました。
日本の灯台50選の中から、どれだけの灯台巡りをすることができるのか・・・。
- 北海道 (9)
稚内灯台(北海道稚内市)宗谷岬灯台(北海道稚内市)知床岬灯台(北海道斜里町)納沙布岬灯台(北海道根室市)花咲灯台(北海道根室市)落石岬灯台(北海道根室市)襟裳岬灯台(北海道えりも町)チキウ岬灯台(北海道室蘭市)恵山岬灯台(北海道函館市) - 東北地方 (9)
尻屋埼灯台(青森県東通村)大間埼灯台(青森県大間町)龍飛埼灯台(青森県外ヶ浜町)鮫角灯台(青森県八戸市)入道埼灯台(秋田県男鹿市)陸中黒埼灯台(岩手県普代村)トドヶ埼灯台(岩手県宮古市)金華山灯台(宮城県石巻市)塩屋埼灯台(福島県いわき市) - 関東地方 (3)
犬吠埼灯台(千葉県銚子市)野島埼灯台(千葉県南房総市)観音埼灯台(神奈川県横須賀市) - 中部地方(北陸側) (3)
姫埼灯台(新潟県佐渡市)禄剛埼灯台(石川県珠洲市)大野灯台(石川県金沢市) - 中部地方(東海側) (8)
石廊埼灯台(静岡県南伊豆町)神子元島灯台(静岡県下田市)御前埼灯台(静岡県御前崎市)伊良湖岬灯台(愛知県田原市)神島灯台(三重県鳥羽市)菅島灯台(三重県鳥羽市)安乗埼灯台(三重県志摩市)大王埼灯台(三重県志摩市) - 近畿地方 (2)
潮岬灯台(和歌山県串本町)経ヶ岬灯台(京都府京丹後市) - 中国地方 (4)
美保関灯台(島根県松江市)出雲日御碕灯台(島根県出雲市)高根島灯台(広島県尾道市)角島灯台(山口県下関市) - 四国 (4)
男木島灯台(香川県高松市)室戸岬灯台(高知県室戸市)足摺岬灯台(高知県土佐清水市)佐田岬灯台(愛媛県伊方町) - 九州・沖縄 (8)
部埼灯台(福岡県北九州市)白州灯台(福岡県北九州市)水ノ子島灯台(大分県佐伯市)大瀬埼灯台(長崎県五島市)女島灯台(長崎県五島市)都井岬灯台(宮崎県串間市)佐多岬灯台(鹿児島県南大隅町)平安名埼灯台(沖縄県宮古島市)
まとめ
シニアの一人旅には色々な目的地が考えられますが、その一つに灯台巡りを考えてはいかがでしょうか。灯台には歴史や文化、外観などそれぞれに特徴があります。それに、なんといっても灯台のあるところは絶景が多いのです。海好きにはたまらない風景を堪能することができます。
灯台で絶景を眺めたら付近を散策してみましょう。灯台を中心にして一帯が公園になっているところもあれば、最寄りの駅で灯台にまつわるお土産を選んだり、別の観光スポットに足を延ばすこともできます。お天気のいい休日にふらりと灯台を目指して一人旅に出てみてはいかがですか?
灯台マニアの女性が、灯台の素晴らしさを伝えたいという情熱にあふれた作品で、熱い思いがひしひしと伝わってきます。
灯台や灯台守の歴史、その深さに感動です!!
GPSの発達で灯台の必要性が薄れてきていると言われている昨今、その文化的な価値の高さを再認識して、灯台巡りの旅に出かけてたくなるおすすめの一冊です(^^♪
>>灯台はそそる【著者:不動まゆう、出版社:光文社】