「北海道旅行で美しい海岸線と灯台を巡りたいけれど、どこにどんな灯台があるのかわからない…」「インスタ映えする灯台スポットを効率よく回りたい」「歴史ある灯台から絶景が楽しめる場所まで、北海道の灯台情報を一度に知りたい」
そんな悩みをお持ちの方に向けて、北海道在住の灯台愛好家が実際に訪れた経験をもとに、道内の主要灯台32箇所を地域別にご紹介します。明治時代から現在まで北海道の海を見守り続ける灯台は、単なる航海施設を超えて、地域の歴史と文化を物語る貴重な観光資源となっています。
北海道の灯台の魅力と歴史
北海道の灯台は、本州の灯台とは一線を画す独特の魅力を持っています。明治時代初期から本格的な建設が始まり、厳しい自然環境に対応するため頑丈な石造りや独特の建築様式が採用されました。
北海道で最初に建設された函館港灯台(1868年)を皮切りに、開拓とともに各地に灯台が建設されていきました。特に明治中期から大正時代にかけて建設された灯台の多くは、西洋建築技術と日本の職人技術が融合した貴重な文化遺産として現在も大切に保存されています。
これらの灯台は現在、船舶の安全航行を支える重要な施設であると同時に、北海道の雄大な自然景観を一望できる絶景スポットとして多くの観光客に愛されています。オホーツク海、太平洋、日本海という3つの海に囲まれた北海道ならではの、多様な海洋風景を楽しむことができます。
【道央エリア】札幌・小樽周辺の灯台一覧
道央エリアは北海道観光の玄関口であり、アクセスしやすい立地にある灯台が多数存在します。歴史ある小樽港周辺から室蘭の工業地帯まで、多彩な海岸線の美しさを堪能できます。
小樽・石狩方面の灯台
石狩灯台は1892年に建設された日本最北の木造灯台として有名です。高さ19.5メートルの白い木造塔は、石狩川河口の美しい海岸線に映える優美な姿を見せています。周辺は石狩浜海浜公園として整備されており、夏場は海水浴客で賑わいます。夕日の時間帯には、灯台のシルエットが夕焼け空に美しく浮かび上がる絶景を楽しめます。
小樽港北防波堤灯台は小樽港の象徴的存在で、港町小樽の風情を感じられるスポットです。防波堤の先端に建つ白い灯台は、小樽運河とともに撮影される人気の被写体となっています。
祝津灯台は小樽市祝津町に位置し、ニシン漁で栄えた歴史ある漁港を見下ろす高台に建っています。周辺には小樽市鰊御殿があり、北海道の漁業史を学ぶことができます。
室蘭・登別方面の灯台
室蘭港灯台は1892年に建設された歴史ある灯台で、室蘭港の工業景観と自然景観が融合した独特の風景を楽しめます。白鳥大橋との組み合わせで撮影される写真は、室蘭観光の定番となっています。
地球岬灯台は室蘭八景の一つに数えられる絶景スポットです。太平洋を一望できる断崖絶壁の上に建つ白い灯台は、北海道屈指の美しさを誇ります。特に日の出の時間帯には、水平線から昇る太陽と灯台の組み合わせが息をのむような美しさを演出します。展望台からは晴れた日に駒ケ岳や恵山を望むことができ、地球の丸さを実感できることから「地球岬」の名前が付けられました。
【道南エリア】函館・松前周辺の灯台一覧
道南エリアは北海道開拓の歴史が最も古く、道内最古の灯台をはじめとする歴史的価値の高い灯台が点在しています。津軽海峡を望む雄大な景色と、本州との文化交流の歴史を感じることができます。
函館周辺の歴史ある灯台
函館港灯台は1868年に建設された北海道最古の灯台で、日本の灯台史において極めて重要な位置を占めています。函館山の麓に建つこの灯台は、開港とともに函館の発展を見守り続けてきました。現在の灯台は1963年に改築されたものですが、周辺には当時の面影を残す石積みの基礎部分が保存されており、歴史の重みを感じることができます。
恵山岬灯台は函館市東部の恵山岬に建つ灯台で、津軽海峡の荒波を見下ろす絶景スポットとして知られています。活火山である恵山の麓に位置し、春には美しいツツジの花が咲き乱れます。晴れた日には津軽海峡を挟んで本州の下北半島を望むことができ、北海道と本州の近さを実感できる場所です。
汐首岬灯台は道南の最東端に位置し、太平洋の大パノラマを楽しめます。険しい断崖の上に建つ白い灯台は、周囲の自然景観と調和した美しい姿を見せています。
松前・江差方面の灯台
松前小島灯台は松前町沖の小さな島に建つ灯台で、松前城跡からも望むことができます。春の桜の季節には、松前公園の桜と一緒に撮影する観光客が多く訪れます。
江差港灯台は江差町の港に建つ灯台で、ニシン漁で栄えた江差の歴史を物語る重要な建造物です。江差追分で有名な港町の風情を今に伝えています。
白神岬灯台は北海道最南端の岬に建つ灯台で、津軽海峡の最狭部を見下ろす絶景ポイントです。本州まで約19キロメートルという近距離から、青森県の竜飛岬を望むことができます。
【道東エリア】釧路・根室・知床の灯台一覧
道東エリアは北海道の中でも特に雄大な自然景観を誇る地域で、オホーツク海と太平洋に面した多彩な海岸線に建つ灯台群は、それぞれが独特の魅力を持っています。日本最東端の地理的特性を活かした絶景スポットが数多く存在します。
釧路・厚岸方面の灯台
釧路港灯台は道東最大の港湾都市釧路のシンボル的存在です。釧路川河口に建つこの灯台は、1890年に建設された歴史ある灯台で、釧路湿原と太平洋を一望できる絶好のロケーションにあります。特に夕日の時間帯には、釧路湿原に沈む夕日と灯台のシルエットが美しいコントラストを描きます。
厚岸灯台は厚岸湖と厚岸湾を見下ろす高台に建つ灯台で、カキの名産地として知られる厚岸町の海の玄関口を守っています。周辺は愛冴岬と呼ばれ、太平洋の雄大な景色を楽しめます。
霧多布灯台は浜中町の霧多布岬に建つ灯台で、その名の通り霧の多い地域にあります。しかし霧が晴れた時の景色は格別で、太平洋の大パノラマと花畑が織りなす美しい景観を楽しむことができます。7月から8月にかけては、岬一面にエゾカンゾウやハマナスの花が咲き乱れ、まさに絶景のお花畑となります。
根室半島の灯台群
納沙布岬灯台は日本最東端の灯台として全国的に有名です。1872年に建設されたこの灯台は、北方領土を望む最前線に位置し、歴史的にも重要な意味を持っています。晴れた日には歯舞群島の島影を望むことができ、北方領土問題の現実を目の当たりにする場所でもあります。日本で最も早い日の出を見ることができるスポットとしても人気で、元旦には多くの初日の出観光客が訪れます。
落石岬灯台は根室市の落石岬に建つ灯台で、太平洋の荒波を受ける断崖絶壁の上にそびえ立っています。周辺は原生花園として整備されており、夏場には色とりどりの花々が咲き乱れます。灯台へ向かう遊歩道からは、エゾシカやキタキツネなどの野生動物に出会うことも多く、北海道の大自然を肌で感じることができます。
花咲灯台は根室市花咲港に建つ灯台で、毛ガニの水揚げで有名な花咲港の安全を守っています。港町の活気ある雰囲気と、太平洋の雄大な景色を同時に楽しめるスポットです。
知床・網走方面の灯台
知床岬灯台は世界自然遺産・知床半島の先端に建つ灯台で、陸路でのアクセスが困難なため、観光船からの見学が一般的です。原始の自然が残る知床半島の象徴的存在として、多くの観光客の憧れの的となっています。
能取岬灯台は網走市の能取岬に建つ灯台で、オホーツク海の大パノラマを楽しめる絶景スポットです。夏場は緑の牧草地が広がり、秋には一面のサンゴ草(アッケシソウ)が真っ赤に染まる美しい景色を楽しむことができます。特に9月下旬から10月上旬のサンゴ草の紅葉期には、多くの観光客が訪れます。
網走港灯台は網走港の入口に建つ灯台で、流氷で有名な網走の海の安全を守っています。冬期間には流氷観光砕氷船「おーろら」から、氷に囲まれた灯台の美しい姿を見ることができます。
【道北エリア】稚内・留萌周辺の灯台一覧
道北エリアは日本最北の地域であり、宗谷海峡を挟んでサハリンを望む国境の海に建つ灯台群は、特別な意味を持っています。厳しい自然環境の中で海の安全を守り続ける灯台の姿には、深い感動を覚えます。
稚内・宗谷方面の灯台
宗谷岬灯台は日本最北端の灯台として、多くの観光客が訪れる北海道観光の聖地です。1885年に建設されたこの灯台は、宗谷海峡の安全航行を130年以上にわたって支え続けています。晴れた日にはサハリン(樺太)の島影を望むことができ、日本の北限を実感できる特別な場所です。最北端の地の碑とともに記念撮影をする観光客が後を絶ちません。
稚内港北防波堤ドームは正確には灯台ではありませんが、稚内港のシンボル的存在として多くの観光客が訪れます。全長427メートルの美しいアーチ型の防波堤は、古代ローマの建築を思わせる荘厳な佇まいを見せています。
ノシャップ岬灯台は稚内市のノシャップ岬に建つ灯台で、利尻島・礼文島を望む絶景スポットとして人気です。周辺にはノシャップ寒流水族館や稚内市青少年科学館があり、家族連れでも楽しめる観光エリアとなっています。夕日の時間帯には、利尻富士をバックにした美しい夕焼け空を楽しむことができます。
留萌・羽幌方面の灯台
留萌港灯台は留萌市の港に建つ灯台で、夕日の美しさで知られる黄金岬からも望むことができます。留萌は「日本一美しい夕日のまち」として知られており、灯台と夕日の組み合わせは絶景の一言に尽きます。
天売島灯台は天売島の断崖絶壁の上に建つ灯台で、海鳥の楽園として知られる天売島のシンボル的存在です。ウミガラスやケイマフリなどの珍しい海鳥の繁殖地として、バードウォッチングの聖地となっています。
焼尻島灯台は焼尻島に建つ灯台で、島全体が天然記念物に指定された原生林に囲まれています。メンヨウ牧場でも有名な焼尻島の自然景観と調和した美しい灯台です。
灯台巡りのベストシーズンと服装
北海道の灯台巡りを最大限に楽しむためには、季節選びと適切な服装が重要です。それぞれの季節に独特の魅力があり、目的に応じてベストな時期を選ぶことができます。
- 春(4月〜6月)
桜や花々と灯台の美しいコントラストを楽しめる季節です。特に松前公園の桜と松前小島灯台、霧多布岬のエゾカンゾウと霧多布灯台の組み合わせは絶景です。ただし、天候が不安定で強風の日も多いため、防風対策が必要です。 - 夏(7月〜9月)
最も観光に適した季節で、晴天の日が多く絶景を楽しめます。日の出・日の入り時刻も良好で、撮影には最適な条件が揃います。ただし、海岸部では気温が低いことがあるため、軽い防寒着の準備をおすすめします。 - 秋(10月〜11月)
紅葉と灯台の美しい組み合わせが楽しめる季節です。特に能取岬のサンゴ草や、各地の紅葉スポットでの撮影は格別です。急激に気温が下がるため、しっかりとした防寒対策が必要です。 - 冬(12月〜3月)
雪化粧した灯台の幻想的な美しさを楽しめます。流氷と灯台の組み合わせは北海道ならではの絶景です。ただし、路面凍結や吹雪などの危険性があるため、十分な装備と経験が必要です。
服装については、海岸部は内陸より気温が低く風も強いため、季節を問わず防寒・防風対策が重要です。歩きやすい靴、帽子、手袋は必需品です。
灯台観光におすすめのアクセス方法
北海道の灯台巡りを効率よく楽しむためには、適切な交通手段の選択が重要です。広大な北海道では、目的や予算に応じて最適なアクセス方法を選ぶことができます。
車でのアクセス
レンタカーは北海道の灯台巡りに最も適した交通手段です。自分のペースで移動でき、荷物の心配もなく、撮影機材なども自由に持参できます。主要な灯台スポットのほとんどに駐車場が整備されており、車でのアクセスが前提となっています。
効率的な回り方としては、地域ごとにまとめて巡ることをおすすめします。道央エリアなら2-3日、道東や道北エリアはそれぞれ3-4日程度が目安です。冬期間は路面状況に十分注意し、スタッドレスタイヤや滑り止めチェーンの準備が必須です。
公共交通機関でのアクセス
JRとバスを組み合わせた移動も可能ですが、灯台の多くは市街地から離れた場所にあるため、路線バスの本数が限られている場合があります。事前に時刻表を確認し、余裕のあるスケジュールを組むことが重要です。
観光バスツアーは効率よく複数の灯台を巡ることができ、ガイドによる詳しい説明も聞けるため、初心者にはおすすめです。ただし、自由度は低くなるため、撮影にこだわりたい方には物足りない場合もあります。
灯台巡りで準備したい持ち物とグッズ
灯台巡りを快適に楽しむためには、適切な装備の準備が重要です。海岸部特有の環境に対応した持ち物を揃えることで、より充実した観光体験ができます。
撮影機材としては、一眼レフカメラやミラーレスカメラがあれば、灯台の美しさを高画質で記録できます。三脚は夜景や朝日・夕日の撮影に必須で、海風の強い場所では特に安定性の高いものを選ぶことが重要です。レンズフィルターは海からの反射光を抑えるPLフィルターや、明暗差の激しい風景撮影に有効なNDフィルターがおすすめです。
防寒・防風対策では、海岸部は予想以上に寒く風も強いため、しっかりとした準備が必要です。防風性の高いアウター、保温性の高いインナー、防水性のある靴は必需品です。手袋は撮影操作がしやすい指先が開くタイプがおすすめです。
便利グッズとして、双眼鏡があれば灯台の細部や周辺の景色をより詳しく観察できます。モバイルバッテリーは寒冷地でバッテリーの消耗が早いため、複数個用意することをおすすめします。灯台の歴史や技術的な情報が記載されたガイドブックがあれば、より深く灯台を理解できます。
よくある質問(FAQ)
Q1: 北海道で一番美しい灯台はどこですか? A: 個人の好みによりますが、地球岬灯台、納沙布岬灯台、宗谷岬灯台は特に人気が高く、絶景スポットとして知られています。地球岬灯台は太平洋の大パノラマ、納沙布岬灯台は日本最東端からの景色、宗谷岬灯台は最北端の特別感がそれぞれの魅力です。季節や天候によっても印象が大きく変わるため、複数の灯台を訪れて比較してみることをおすすめします。
Q2: 灯台の内部見学はできますか? A: 一部の灯台では特定の期間に内部見学が可能です。函館港灯台や室蘭港灯台などでは、灯台記念日(11月1日)前後に特別公開が行われることがあります。ただし、安全上の理由から事前予約が必要な場合が多いため、各灯台の管理事務所や地元観光協会に事前に確認することをおすすめします。
Q3: 冬期間でも灯台観光はできますか? A: 多くの灯台は通年見学可能ですが、積雪や悪天候により道路が閉鎖される場合があります。特に道北や道東の灯台では、12月から3月にかけて立入禁止になる場所もあります。冬期間の観光を計画する際は、事前に道路状況や施設の営業状況を確認し、十分な防寒装備と運転技術を準備してから出発することが重要です。
Q4: 灯台巡りに最適な日数は? A: 主要な灯台を効率よく回るなら3-4日、じっくり各地域を楽しむなら7-10日程度がおすすめです。1日に回れる灯台数は交通手段や距離にもよりますが、撮影時間も考慮すると3-5箇所が現実的です。ゆっくりと各灯台の歴史や周辺観光も楽しみたい場合は、さらに余裕を持ったスケジュールを組むことをおすすめします。
Q5: 子供連れでも楽しめますか? A: はい、多くの灯台周辺は公園として整備されており、家族連れでも安全に楽しめます。特に石狩灯台周辺の海浜公園、地球岬の展望台、ノシャップ岬の水族館併設など、子供が喜ぶ施設も充実しています。ただし、断崖絶壁に建つ灯台もあるため、小さなお子様連れの場合は安全面に十分注意して見学することが大切です。
専門家の視点コラム
灯台研究家・海洋史専門家監修 「北海道の灯台は、本州とは異なる厳しい気象条件に対応するため、独特の建築様式を持っています。特に明治期に建設された石造りの灯台は、当時の西洋建築技術と日本の職人技術が融合した貴重な文化遺産です。函館港灯台に始まる北海道の灯台建設史は、日本の近代化と開拓史を物語る重要な史料でもあります。これらの灯台を見学する際は、単なる観光施設としてではなく、先人たちの技術と努力の結晶として敬意を持って接していただきたいと思います。」
北海道観光ガイド協会推薦 「灯台巡りは単なる観光ではなく、北海道の海洋史と開拓史を体感できる文化的な体験です。各灯台には地域固有の歴史と物語があり、それらを知ることで旅の価値が大きく向上します。地元の人々との交流を通じて、灯台にまつわる伝説や逸話を聞くことも、旅の醍醐味の一つです。また、灯台周辺では地域の特産品や郷土料理も楽しめるため、総合的な北海道観光の一環として灯台巡りを組み込むことをおすすめします。」
北海道の32の灯台は、それぞれが独自の歴史と美しさを持つ貴重な観光資源です。明治時代から現在まで北海道の海を守り続ける灯台の姿には、先人たちの知恵と努力が刻まれています。
雄大な自然景観の中に佇む灯台は、訪れる人に深い感動と癒しを与えてくれます。ぜひこの記事を参考に、あなただけの灯台巡りの旅を計画してみてください。北海道の美しい海岸線と歴史ある灯台が、きっと素晴らしい思い出を作ってくれることでしょう。