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老齢基礎年金の満額と計算方法とは?

老齢基礎年金の満額と計算方法とは?

国民年金とは、20歳以上60歳未満の全ての国民が加入する年金です。
20歳になると住民票のある住所に国民年金の加入手続きの書類が送られてきます。この手続きを行って、20歳から60歳まで40年間保険料を支払い、65歳になったときに受け取ることができる老後のための年金を「老齢基礎年金」と言います。この「老齢基礎年金」について詳しく調べてみました。

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老齢基礎年金、満額はいくらか

様々な条件で受給額は変わりますが、まずは単純に40年間、毎月保険料を納めた場合の満額はいくらかと言うと、令和2年度は780,100円となります。令和元年度は、とあるのは年度ごとに金額が変わるためです。

受給額はどういう時に変わるのか

では金額が変わる場合というのは、どういう時でしょうか?保険料を納付しなかった時期があるとか、免除されていた期間があるといった場合は、その期間分に一定の割合を掛けたものが満額の金額から減額されます。

受給額を算出するための計算式

計算式はこのようになります。

  1. 「保険料納付月数」+「全額免除月数×4/8」+「1/4納付月数×5/8」+「半額納付月数×6/8」+「3/4納付月数×7/8」
  2. 1.の合計を「加入可能年数40年×12ケ月」で割る。
  3. 2.で出てきた数字に満額の780,100円を掛ける。

収入の減少や失業などにより保険料が納付できない時は、免除申請を行い、承認されれば納付が免除されます。免除の割合は「全額」「4分の3」「半額」「4分の1」の4種類があります。「全額」免除の場合は満額の50%、「4分の3」の場合は62.5%、「半額」の場合は75%、「4分の1」の場合は87.5%受給になります。

満額受給ができない例

国民年金の保険料を20歳から支払うようになったのは1986年4月からで、学生も含めて20歳以上の全ての人が強制的に加入するようになったのは1991年4月からです。
ですから、1986年4月以前に20歳になっていた人は一定期間保険料を納付していない時期がある可能性があります。

例えば、1986年4月以前に20歳になった人の中に、大学を卒業して会社に勤め始めてから厚生年金に加入して保険料を納付した人がいるとします。通常、大学を卒業して、新卒で会社に入社するときは22歳ですから、20歳から22歳までの2年分の保険料が未納になっているわけです。

老後の達人
老後の達人

40年間の内の2年間ですからざっと5%くらい目減りする格好ですね。 

受給額の目減り分を取り戻すには

そんな昔に未納があって目減りした分なんて、今更もう取り戻せないと思っている方、大丈夫です。
目減りした分を取り戻す方法があります。

国民年金の任意加入制度を使おう

国民年金の任意加入制度という制度があります。老齢年金の支給額は40年間保険料を払った時に満額受給できますが、納付期間が短いとその分減額してしまいます。その足りなかった納付期間分の保険料を納めることができるのがこの制度です。60歳から65歳までの5年間、未納分の保険料を納めれば受給額を増やすことができます。

任意加入でいくら増えるのか

例えば先の例で20歳から22歳まで保険料を納めなかった世代の方は60歳以降にこの制度を利用して追加で保険料を納めれば、65歳になった時に満額の780,100円の受給が可能になります。令和2年度の保険料は16,540円です。これを2年間分追加で納めると、合計で39万6,960円になります。目減りした分は5%でしたので、780,100円×5%で39,005円です。

老後の達人
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約10年で元が取れる計算ですので、75歳より長生きできればお得になります。

受給資格を得るためにも

また、別の目的でこの制度を利用することもできます。国民年金の受給資格は保険料の納付期間が10年以上ないと得られません。
10年に満たなくて資格のない人はこの制度を利用して不足分を納付すれば、受給資格を得ることができます。
資格を得るために追加で加入する人は70歳までの10年間、この制度を利用することが可能です。

40年間分保険料を納めた人は使えない

この制度は40年間分の保険料を納付した人には適用できません。
あくまで満額に満たない人や受給資格のない人の救済処置としてのみ利用することが可能です。

繰り上げ・繰り下げ受給するとどうか

国民年金は原則65歳からの支給ですが、希望すれば60歳から繰り上げ受給することも可能ですし、逆に70歳からに繰り下げ受給することもできます。
ここでは繰り上げ・繰り下げのメリット・デメリットを見てみましょう。

繰り上げ受給のメリット・デメリット

まずは繰り上げ受給のメリット・デメリットを見てみましょう。

繰り上げ受給のメリット

繰り上げ受給のメリットは何と言ってもすぐにお金が手に入ることです。60歳で定年を迎え、生活費が不足する場合などに定額が毎月振り込まれるのは心強いですよね。
しかし、受給できる金額は1ケ月につき0.5%減額され、60歳から受け取ると30%も減額されてしまいます。満額が6万5千円だとすると、4万5千円程度です。
本来65歳から受給するとすれば、5年間で2百73万円ももらえる訳ですから一見良さそうですが、累積の受給額を65歳から満額で受け取る場合と比べると、12年くらいで逆転してしまいます。

老後の達人
老後の達人

77歳をどうみるかは意見の分かれるところではありますが、男女ともに平均寿命が80歳を超えている現在、長寿に備えることも必要です。 

繰り上げ受給のデメリット

繰り上げ受給すると次のようなデメリットがあります。

  1. 障害基礎年金を請求できない。
  2. 寡婦年金が支給されない。既に寡婦年金を受給していても権利が喪失する。
  3. 65歳になるまで遺族厚生年金・遺族共済年金が併給できない。

障害年金は一定の障害を負った人に支給される年金で、寡婦年金は保険料を10年以上納めた被保険者が死亡した場合に、妻が60歳から65歳まで受け取る年金です。遺族年金は同じく被保険者が死亡した場合の厚生年金、共済年金からの受給で、これらを繰り上げの年金と併せて受け取ることはできないということになります。

繰り下げ受給のメリット・デメリット

次に繰り下げたときのメリット・デメリットを見てみましょう。

繰り下げ受給のメリット

繰り下げ受給をすると1ケ月ごとに0.7%増額され、70歳まで受給を遅らせた場合、年金の金額は42%増加します。
これが最大値でこれ以上は増えません。65歳からだと月当たり6万5千円が、1.42倍の9万2千円になり、3万円近く増えます。累積では約12年でほぼイーブンになるので、累積でメリットが出るのは82歳以降ということになります。

老後の達人
老後の達人

ちょっと遅いと感ずるかもしれませんが、男女とも平均年齢が80歳を超えている今日、90歳や100歳まで生きることを視野に入れておくことも大切です。

繰り下げ受給のデメリット

年金収入が増えることによって社会保険料の負担が増えます。
国民健康保健料と介護保険料は所得から算出されるため、年金収入が増えれば、これらの社会保険料の支払額も増加します。あるシュミレーションでは70歳まで繰り下げて受給額が42%増加しても、社会保険料が増加するので手取り額としては33%しか増加しないとしています。
今後、国民健康保険料率と介護保険料率は確実に上昇すると言われており、その元となる年金収入が増えることは手放しでは喜べない面もあるのです。

まとめ

国民年金は20歳以上の日本国民が全て加入する年金で、60歳までの40年間毎月保険料を支払えば65歳から満額の年金を受け取ることができます。

40年間のうち、納付しなかった期間があり目減りしている人は、任意加入制度を使って60歳から65歳までの間に、不足した保険料を納めれば満額受給が可能になります。
10年の受給資格に満たない人も、この制度を使って受給資格を得ることができます。

年金の受給は原則65歳からですが、繰り上げて60歳から受給することや、繰り下げて66歳から70歳までの間に受給を開始することも可能です。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、よく検討した上で、いつから受給するのかを決めることが大切です。