西の横綱、出雲日御崎灯台とは
日本の代表的な灯台について調べていた私は、灯台にはそれを評価するいくつもの指標があることを知りました。中でも、「日本の灯台50選」「世界灯台100選」「参観灯台(のぼれる灯台)」「保存灯台」「灯台のレンズの等級」の5つの指標は、日本を代表する灯台を知る上で重要な指標と言えるでしょう。
この5つの指標において「日本の灯台50選」と「世界灯台100選」に入り、第1等級のレンズを持ち、登れるAランクの保存灯台は、千葉県の犬吠埼灯台、島根県の出雲日御崎灯台の2基しかありません。この2基の灯台はまさに横綱とも呼べる灯台です。この2基の灯台の実物を見てみたいという気持ちがどんどん強くなってきました。東京に住む私はめったに島根県まで行けませんが、いずれは西の横綱に行ってみたいと思いました。
出雲日御崎灯台は島根半島の西端にあり、日本海の荒波が砕ける断崖の上に立っています。明治36年(1903年)4月1日に完成し点灯した石造りの灯台で、灯塔の高さは44m、日本で一番高い灯台です。
明治になって洋式灯台が日本で建てられ始めた当初は、日本の灯台はイギリスやフランスなどの技術を用い、外国人技師の指導の下で作られていました。出雲日御崎灯台は設計も施工も日本のみの手によって行われましたが、明治初期に外国から導入された石造りの灯台構築技術と、日本に古来からある築城や石工の技術が融合した集大成として高い評価を得ています。完成から117年が経った今も美しい姿で人々を魅了しています。
灯台の回廊(バルコニー)からは出雲カサグリ照射灯、宇龍港権現島北東照射灯、宇龍港ザドグリ防波堤灯台を見ることができます。また灯台に併設された灯台資料展示室では、灯台の歴史や機能、役割などを知ることや貴重な資料を見ることが出来ます。
東京から出雲日御崎灯台に行くには
東京から出雲日御崎灯台に行くには、一般的にはまずは飛行機で出雲空港に向かいます。羽田空港からJALが飛んでいます。直行便と伊丹空港で乗り換える便とがありますが、今はコロナで減便されているようです。直行便は10時台と16時台があります。
飛行時間は概ね1.5時間で、料金は便によって差がありますが、通常料金で片道2~3万円程度です。
10:05発のJAL279便に搭乗すれば11:35に出雲空港に到着します。出雲空港の正式名称は出雲縁結び空港、いかにも神々のご利益がありそうな名前ですね。空港はしじみで有名な宍道湖の西岸に位置しており、出雲市駅、玉造温泉、出雲大社、松江駅などへ空港バスが運行しています。
空港から出雲市駅までは約30分の道のりです。バスの発車時間は飛行機の到着時間に合わせているので、飛行機を降りたらすぐにバス乗り場に向かうのがよさそうです。出雲市駅で空港バスを降りたら、日御碕灯台行きのバスに乗り換えます。時間的にはぎりぎりですが、12:45発のバスに乗れば、灯台までは約1時間です。日御碕灯台のバス停で下車して徒歩5分で灯台に到着、14時過ぎには参観できそうです。
島根県にあるもう一つの灯台
ところで、島根県には出雲日御崎灯台と並んで有名な灯台がもう1基あります。それが美保関灯台です。宍道湖、中海、美保湾を抱くようにして横たわる島根半島の西の突端には出雲日御崎灯台、東端の地蔵埼には美保関灯台が立っています。直線距離にしてほぼ80km、車で2時間程度の道のりです。
美保関灯台は明治31年(1898年)にフランス人技師の設計で建てられた、山陰最古の石造りの灯台です。Aランクの保存灯台で、「日本の灯台50選」と「世界の灯台100選」に選ばれています。また、明治の面影を留めた風格のある建物は、歴史的文化的価値の高さから、灯台としては日本で初めて有形登録文化財に指定されました。美保関灯台は登れる灯台ではありませんが、年に1度、海の日に一般公開されています。
公開日以外は登ることはできませんが、灯台の下から美保湾を隔てて大山、弓ヶ浜、遠く隠岐の島々を臨むことができます。灯台に隣接した昔の事務所や宿舎は、今はカフェになっていて、日本海の素晴らしい眺望を満喫することができます。
公共の交通機関を使う場合はバスで移動します。松江駅から美保関ターミナルまで約40分、美保関ターミナルで乗り換えて、美保関神社まで約20分、美保関神社から灯台までは徒歩で約30分です。鳥取県側から行くルートもあり、その場合は米子駅から境港駅までJR境線で約45分、境港駅からはバスで宇井渡船場まで約10分、宇井渡船場で乗り換えて、美保神社まで約15分の道のりです。
ちなみに羽田から米子空港はANAが就航しており、6時台、9時台、12時台、15時台、18時台、20時台の6便があります。飛行時間は約1.5時間です。米子空港から境港駅まではJR境線で約15分です。
島根県観光スポットベスト3
島根県には3大観光地があります。出雲大社、玉造温泉、足立美術館の3つです。出雲大社と玉造温泉は古くから観光の名所として知られてきましたが、足立美術館がとりわけ脚光を浴びるようになったのは、日本に来る海外からの観光客が増え始めたころからです。足立美術館と言えば日本庭園が有名ですが、その美しさを知った外国人の観光客が多く訪れてますます有名になりました。
それぞれの観光スポットについては公式のホームページもありますし、紹介するサイトがたくさんあるので、詳しくはそちらを見て頂ければと思います。
出雲大社
縁結びの神様としてその名が知られ、出雲空港の名称にも「縁結び」の言葉が使われています。神々が集い、いにしえより人々から仰ぎ尊ばれてきた神殿の歴史は、神話の時代にまでさかのぼり、出雲は神話のふるさととしても広く知られています。
玉造温泉
奈良時代に開湯したと言われる古湯で、玉造という名は、この地にある花仙山で良質の青瑪瑙が採掘できたために、この地の人々が玉造を生業としていたことに由来していると言われています。高級和風旅館が多く、歴史を重んじた風格のある温泉街が広がっています。
足立美術館
地元出身の実業家、足立全康が1970年、71歳の時に開館した美術館で、横山大観のコレクションと日本庭園が有名です。米国の日本庭園専門雑誌で、初回の2003年から16年連続で日本一に選ばれており、海外からも高い評価を得ています。
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島根に2泊する一人旅灯台はしごプラン
ここまで島根県の灯台や観光スポットを調べてきて、出雲日御崎灯台と美保関灯台をはしごする旅プランを作ってみたくなりました。1泊では時間が足りないので2泊するプランです。
旅程:1日目
東の美保関灯台から西の出雲日御崎灯台に移動するルートを取ります。
- 鳥取県の米子空港から島根県に入ります
- 羽田9:15発のANA383便に搭乗、10:40に米子鬼太郎空港に到着
- 米子空港駅12:06発のJR境線に乗り換え、境港駅に12:20に到着
- 境港駅から美保関コミュニティバス境港線に乗り、長島で美保関線に乗り換えて美保関へ
- 美保関のバス停の目の前が美保神社です。
所要時間は約1.5時間、概ね14時頃に美保神社に到着、徒歩約30分で灯台です。灯台を眺める時間は2時間程度で、あまりゆっくりはできませんが、周囲を散策して絶景を堪能しましょう。カフェもあるので、一息入れながら灯台のある風景を味わいながら豊かな時間を過ごすのもいいですね。
今の時期の日の入りは17時頃、少し慌ただしいですが、遅くとも16時半には灯台を離れて歩き出さないと暗くなってしまいます。明るいうちに帰路につきましょう。
- 美保神社まで戻ったら、再びコミュニティバスで美保関ターミナル経由で松江駅に
- 松江駅でJR山陰線に乗り、1駅目が玉造温泉駅です
- 17時に美保神社を出ると、約2時間後の19時ごろに玉造温泉駅に到着です。
玉造温泉の老舗旅館にチェックイン、お疲れさまでした。
旅程:2日目
島根半島の東端から西端に移動します。1日目より交通の便は良さそうです。JR玉造温泉駅から出雲市駅までJR山陰線で5駅、約30分の移動です。出雲市駅から一畑バス日御碕線で約1時間、日御碕のバス停から徒歩5分です。
- 出雲市駅発10:00のバスで、出雲大社連絡所で乗り換えて11:00に日御碕灯台に到着
- 逆算すると玉造温泉駅で9時ごろの電車に乗るのが良いようです
- 日御碕灯台発のバスの最終が18:17発ですので、日の入りまで灯台で過ごしましょう
- 往路と同様、出雲大社連絡所で乗り換えて出雲市駅着は19:19です。
出雲市駅周辺のホテルにチェックイン、お疲れさまでした。
旅程:3日目
出雲市駅から前日の10:00のバスに乗車、10:23に出雲大社正門前で下車します。出雲大社参観、参観後は出雲大社から出雲市駅へ戻り、バスで出雲空港へ。出雲空港発16:40、羽田空港着17:55のJAL284で帰路につきます。
2日とも玉造温泉に宿泊し、3日目は足立美術館に行くケース
- 玉造温泉駅から9:55発のJR山陰線の特急やくも12号で10:17に安来駅に
- 安来駅で美術館行きのシャトルバスに乗り約20分で美術館に到着です
- ゆっくり美術館で過ごし、15時ごろ美術館を後にします
- 帰りは再びシャトルバスで安来駅に戻り、JR山陰線で米子駅に
- 米子駅で境線に乗り換えて米子空港に向かいます。安来駅から空港まで約1時間です
- 米子空港発17:20、羽田空港着18:45のANA388で帰路に
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まとめ
神話の国、出雲への旅はとてもロマンチック。日本を代表する灯台が2基もあり、出雲大社や玉造温泉など歴史を感じる観光地や、世界的に有名な日本庭園を訪れることもできるなんて、とても素晴らしいと思います。
美保関灯台は公共交通機関で行くにはちょっと不便で時間がかかりますが、苦労してたどり着いたその先に絶景が待っていると思えば、移動の苦労など取るに足りません。出雲日御崎灯台は西の横綱だけあって、灯台マニアでなくとも大勢の観光客が参観に訪れます。こちらはアクセスも良く、併設する資料館などの施設も充実していますので、灯台のことをより広く、深く知ることができるでしょう。
コロナ感染拡大の影響でGo To トラベルも中止になり、今は楽しく旅行ができない環境ではありますが、いつかまた旅を自由に楽しめるようになったら、きっと行ってみたいと思います。
(注)この記事の中の交通機関の時間、便数などは2021年1月13日現在のものです。