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避けて通れない親の介護で介護資格について考えてみた

避けて通れない親の介護で介護資格について考えてみた

シニア世代と親の介護

50代も半ばになり、そろそろ第二の人生を意識するころ、親の健康状態が気になってきます。両親は健在だけど高齢者2人で暮らしているのは心配だとか、一人暮らしをしている親の世話をどうすればよいかなど、自分の人生のこれからを考えるだけではなく、親の今後も考えなければならない時期になります。

58歳のとき、当時85歳だった母が認知症を発症しました。なんとなく衰えを感じていたものの、特に変わったことはないと思っていたのですが、ある日電気ポットをガスコンロに乗せて火をつけてしまい、ボヤが出てあやうく火事になるような出来事がありました。その時、私はようやく母が自立した生活を営むのが難しくなっていたのだと理解しました。

すぐに地域包括センターに相談し、認知症の病院を紹介してもらったり、介護認定の方法を教えてもらったり、ケアマネージャーを紹介する事業所を推薦してもらったりして、介護の体制を整えました。父が亡くなってからというもの、母はずっと私の世話をしてくれていました。私は仕事が終わって帰宅すれば「メシ、フロ、ネル」で、家事を一切していませんでした。でもこの時から私と母の立場が逆転したのです。

老後の達人
老後の達人

いつかは来るものだと覚悟はしていても、いざその時が来るとショックは大きく、衰えていく母の状態が心配なのはもちろん、仕事と家事と介護が成り立つのかも不安でした。

 しかし、介護は待ってはくれませんでした。不安を感じながらも手探りで介護を始めることになりました。
そして、あれから5年が過ぎ、90歳を超えた母は、衰えは進んでいるものの、自宅で健康に暮らしています。私のようにある日突然介護に携わるようになる、というようなことは、親のいるシニア世代であれば、だれもが通る道であると思います。同世代の知り合いにも、親の病気やケガなどから介護を始めた人がたくさんいます。

老後の達人
老後の達人

介護は「面倒なもの」「つらいもの」「不安なもの」というネガティブなイメージが付いて回り、「もうやっていられない」と思う時もあります。ですが、どうしても避けて通れない道であるならば、なにかポジティブな面を見いだせないかと思うのです。その一つが介護を客観的に捉え、仕事にすることではないかと思います。

親の介護に携わる人々

一口に「介護」と言っても、介護の仕事は多岐にわたっており、介護をしていると様々な専門家に出会います。専門家は介護にかかわる資格を持って働いています。
介護にかかわる仕事にはどんなものがあり、どのような資格が必要なのか、主なものについて紹介します。

訪問ヘルパー

 介護者が一番身近に感じる存在が「訪問介護支援員」と呼ばれる人達です。普段は「訪問ヘルパー」とか、単に「ヘルパーさん」と呼んだりします。

ヘルパーさんは身の回りのことがしにくくなった高齢者の自宅を訪問して、生活のお手伝いをする人のことを言います。重たいものが持てなくなった人のために、買いものに同行して荷物を持ってあげたり、買い物を代行したりします。他にも掃除や洗濯、料理のお手伝いなど、日常生活の中で手助けが必要な部分を補助してくれます。

老後の達人
老後の達人

私も会社勤めをしていた時に、母の買い物や料理を手伝ってもらったりするために、週に2回ほど来ていただいた時期がありました。ヘルパーさんは「介護職員初任者研修」という研修を受講して資格を持った人が行うことのできる仕事です。

介護福祉士

ある時、ずっと家にいた母に外で過ごしてもらおうと思い、「デイサービス」を使うことにしました。デイサービスというのは、午前9時ごろに迎えに来てもらい、車でデイサービスセンターと呼ばれる施設に行き、昼食やおやつを挟んで夕方5時ごろまで施設内で他の高齢者と過ごし、再び車で自宅まで送ってくれる仕組みです。

デイサービスセンターでは来た人が退屈しないように、歌やゲーム、体操などのレクリエーションが用意されています。また花見やハロウィン、クリスマスのような季節行事も盛んですし、誕生日のお祝いもしてくれます。
こういう介護施設で働く人の管理者クラスの人が持っている資格が「介護福祉士」です。介護福祉士は介護の現場での実務経験を3年以上積んだ人が受験できる国家資格で、この資格があれば介護のプロとして様々な介護の職場で働くことができます。

ケアマネージャー(介護支援専門員)

ケアマネージャーは、通称「ケアマネ」とも呼ばれ、介護者にとって最も頼りになる存在です。ケアマネは居宅介護事業所という機関に所属し、介護保険の認定を受けた要介護者の介護サービスの計画を立ててくれます。

老後の達人
老後の達人

母は現在「要介護2」の認定を受けています。要介護度は5段階あって、1が最も軽く次第に重くなって要介護度5が寝たきりの状態となります。要介護度によって使える介護サービスや時間が異なるため、月の中でどんなサービスをどのくらい受けられるのかをケアマネが教えてくれます。

例えば母の場合、訪問介護で週2回のリハビリを行い、デイサービスに週2回通っています。どんな施設が自宅の近くにあるか、どのくらいの時間利用できるか、その際の費用はどのくらいになるのか、などを介護者に示してくれます。

実際にその施設を利用しようとする際には介護者と施設の契約の橋渡しもしてくれますし、サービスを変えたくなった時には調整をしてくれます。また家の中で手すりや車いすが必要になったときはレンタルできる事業所を紹介してくれます。ヘルパーの派遣もケアマネが調整してくれます。ケアマネは介護者がこうしたい、こんなサポートを受けたいというのを具体的な形にしてくれる存在なのです。

ケアマネになるには、先ほど述べた介護福祉士などの資格を有した上で、5年の実務経験があることと、都道府県が行っている「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格することが必要です。ケアマネは介護の現場で働くというよりは介護保険の利用者の自宅を訪問して介護に関する相談を受けたり、介護プランを提案したりする仕事ですので、デスクワークに近い仕事と言えます。
>>ケアマネジャー資格取得講座

老後の達人
老後の達人

ほかにも、デイサービスセンターで高齢者が運動するときに、できるだけ自立した生活が送れるように指導をする「介護予防運動指導員」や福祉用具のレンタル・購入の相談を受ける「福祉用具専門相談員」など、たくさんの仕事や資格があります。

介護の入門資格

多くの場合、介護の資格を取得するには資格試験を受ける必要があります。試験がない場合は、認定を受けた講習や研修を受講することが必要です。試験の場合は、講義などの座学と実技を組み合わせたカリキュラムを終えた後に受験します。

介護の仕事の入門資格である訪問ヘルパーの資格を取るには「介護職員初任者研修」(旧ホームヘルパー2級)を受ける必要があります。研修では、介護業務に必要な基礎知識などの講義や高齢者の移動、食事、入浴などの実技の演習があり、介護に必要な基本知識と実技を理論と実践で学びます。

研修の受講時間は130時間で、標準的な受講期間は約1~4か月程度です。自宅でのテキストでの学習と通学して実技などを学ぶ教室での学習の組み合わせとなります。130時間の全課程終了後に1時間程度の筆記試験があり、必要な知識が習得できているかを確認します。研修で学んだことを理解できていればほぼ合格できるレベルです。

研修費用は概ね5~8万円ですが、受講後に費用の20%を受け取れる教育訓練給費金の制度や就職キャッシュバックキャンペーンなどを利用することで費用を安く抑えることができます。
>>介護職員初任者研修

介護を仕事に

知人の一人は義母の介護をきっかけに介護の仕事に始めました。
専業主婦だった知人は寝たきりになった義母の介護をするにあたり、介護の知識を得て介護に役立てたいと思い、介護の勉強を始めました。それが「介護職員初任者研修」でした。

義母が亡くなった後、研修で得た知識と資格、介護の経験を生かして訪問ヘルパーの仕事を始めました。友人は大勢のお年寄りに頼りにされ、感謝されて、生きがいを感じて仕事を続けています。

また、先日新聞で80歳の方が投稿した記事を読みました。この方は、67歳の時に介護保険のことを知りたいと思って「介護職員初任者研修」を受講したそうです。講習が終わって訪問ヘルパーの資格を取ると、受講者の一人に訪問介護事務所の社長さんがいて、人手不足の折から社長さんに頼まれてその事務所で働くことになりました。

訪問ヘルパーとして働きながら通信教育で学び、「介護福祉士」の資格を取り、また73歳で「ケアマネージャー」の資格も取得しました。訪問先には自分より年上、同年代、年下と様々な人がいて、話し相手になるのが楽しく、誰かのために役に立つことが生きがいなのだそうです。当初は80歳まで現役で働きたいと思っていましたが、目標の80歳になったので85歳まで働きたいとの思いを語っていました。

老後の達人
老後の達人

介護の仕事は定年がありません。本人が働きたいと思えばいつまででもできる。高齢になっても、介護される立場ではなく、介護する立場でいられるなんてカッコイイですね。

避けて通れない親の介護についてのまとめ

シニア世代が第二の人生を考え始めるころ、親の介護が頭をよぎるようになります。そしてある日、親の病気やケガをきっかけに介護生活は始まります。その日の備えとして介護について学んでおけば、いざという時が来ても不安にならずにすみます。

介護について学んでみたいと思ったら介護の入門講座である「介護職員初任者研修」を受講してみましょう。介護に関する基礎知識や介助の具体的な方法を学べるうえ、研修の最後に行われる試験に合格すれば訪問ヘルパーの資格が取れます。

介護業界は人手不足が深刻です。その気になれば働ける職場はいくらでもあります。
訪問ヘルパーとして介助を必要とする人の役に立ち、定年のない仕事で年金だけに頼らない生き方をしてみませんか。