老後の生活を支える年金。その金額は働き方や収入次第で変わります。今回は年収600万円で40年間働いた場合に受け取れる年金額を試算し、さらに年金を増やす工夫を紹介します。
日本の年金制度をおさらい
年金制度はどのように成り立っているのでしょうか?
仕組みを理解することが、将来の生活設計に役立ちます。
日本の年金制度は以下の3つの特徴を持っています。
- 世代間の支え合い
現役世代が支払う保険料を高齢者に還元する仕組みです。 - 国民皆年金
20歳以上の国民はすべて年金に加入し、最低10年間の保険料納付で受給資格を得られます。 - 2階建て構造
基礎部分の国民年金に加え、会社員や公務員は厚生年金も受け取ることができます。
さらに、iDeCoや企業年金などの私的年金が「3階部分」に該当し、加入者の選択次第で受給額を増やせる仕組みも用意されています。
厚生年金の平均受給額はどれくらい?
男女で違いがある厚生年金。その平均受給額を確認してみましょう。
厚生年金の平均受給額は以下のとおりです。
性別 | 月額平均受給額 |
---|---|
男性 | 16万3875円 |
女性 | 10万4878円 |
全体平均 | 14万3973円 |
女性は結婚や出産による退職で加入期間が短くなることが多いため、男性より受給額が少なくなりがちです。しかし、共働き家庭の増加に伴い、今後女性の受給額は上昇すると予測されています。
一方、男性は平均を上回る受給額を得ている人が多く、月額20万円以上を受け取る人も一定数います。将来的な賃金の動向によっては、さらに平均額が上昇する可能性もあるでしょう。
年収600万円・40年間働いた場合の年金額を試算
では、年収600万円で40年間働いた場合、どのくらいの年金を受け取れるのでしょうか?
厚生年金の受給額は、主に「報酬比例部分」「経過的加算」「加給年金」の3つで構成されます。このうち、報酬比例部分が中心となります。
たとえば、年収600万円(標準報酬月額50万円)で40年間働いた場合、報酬比例部分の年間受給額は約131万5440円となります。これに国民年金の満額受給額81万6000円を加えると、年間213万1440円、月額に換算すると約17万7620円です。
この金額は厚生年金の平均額を大きく上回りますが、現役時代と同じ水準の生活を維持するには工夫が必要かもしれません。
年金を増やすための方法
老後の年金額を増やすために、現役時代からできる工夫を3つご紹介します。
1. 定年後も働く
定年後も厚生年金に加入すれば、受給額を増やすことができます。原則70歳まで加入が可能で、働いた期間に応じて年金額が増加します。また、60歳から65歳までの収入を確保し、年金受給のタイミングを計画的に調整できます。
ただし、65歳以降も働き続ける場合は「在職老齢年金」に注意が必要です。月収と年金の合計額が50万円を超えると、受給額の一部または全部がカットされるため、事前に確認しておきましょう。
2. 年金を繰下げ受給する
65歳からの受給開始を遅らせる「繰下げ受給」を利用すると、受給額を増やせます。1ヶ月ごとに0.7%増額され、10年繰り下げた場合は最大84%の増加が見込めます。ただし、繰下げ期間中の生活費をどのように補うか計画しておく必要があります。
3. iDeCoや企業年金を活用する
iDeCoや企業年金を活用すれば、老後資産の準備が効率的に進められます。iDeCoは掛金の所得控除や運用益の非課税などの税制優遇が魅力で、節税しながら積立を進められます。
2024年以降、企業年金とiDeCoの併用で掛金上限額が引き上げられるため、これらの制度をフル活用することで、より大きな年金額を目指せるでしょう。
【まとめ】平均年収600万円で40年間働いた人の年金は月額いくら?
年収600万円で40年間働いた場合の年金額は約18万円。将来の備えに向けて今からできることを考えましょう。
試算の結果、年収600万円で40年間働いた場合、月額約18万円の年金を受け取れることがわかりました。この金額は平均を上回りますが、物価高騰や生活費の増加を考えると十分とは言えない可能性があります。
そのため、定年後の働き方や資産づくりを現役時代から計画することが重要です。iDeCoや企業年金を活用するなどして、老後の経済的な安心を手に入れましょう。